(2021/04 更新)
下記コンテンツもぜひご覧ください。
・FPC(フレキシブル基板) P-Flex® の特長
https://info.elephantech.co.jp/jp/p-flex-technologies
・一般的なFPCとの比較
https://www.elephantech.co.jp/products/pflex/#compare
一般的なプリント基板(リジッド基板)、一般的なフレキシブル基板 、それからエレファンテックのフレキシブル基板 P-Flex® の構造と製造工程を比較することで、リジッド基板とフレキシブル基板の共通点を見ていきましょう。
なお、P-Flex®の製造工程について読みたい方はフレキシブル基板 ピュアアディティブ®法 製造工程をご覧ください。
プリント基板の構造
まず、一般的なリジッド基板、P-Flex®、一般的なフレキシブル基板の構造を比べてみましょう。プリント基板には片面、両面、多層など様々な種類がありますが、ここでは一番シンプルな基板で比較します。(この記事は2017年12月のデータです。最新データはこちらをご覧ください。)
図の通り、基本的には[基材]-[銅箔]-[ソルダレジスト]という構造をしています。
リジッド基板とフレキシブル基板を比べると、当然フレキシブル基板は基材が非常に薄いのが目立ちますが、実は基本的な構造はほとんど同じです。また、フレキシブル基板の場合は必要に応じて補強板を追加することもあります。
それぞれの層の役割を簡単にまとめると以下のようになります。
基材 | 銅箔・部品等を支持する |
---|---|
銅箔 | 電流を流す |
ソルダレジスト | 銅箔の保護、はんだの短絡防止など |
補強板 | 局所的に基板に厚みや硬さを増す |
プリント基板には他にもスルーホールなど様々な要素がありますが、これらが基板の役割からしてもっとも重要な要素になるのはよく分かるのではないでしょうか。
製造工程の大きな流れ
では次に、プリント基板がどのような流れで製造されているのかを見ていきましょう。
製造工程は、上記の基本的な層[基材]-[銅箔]-[ソルダレジスト]が製造される工程ごとに大きく分けることができます。
基材の調達 | |
---|---|
前工程 | 銅箔パターンの形成 |
後工程 | ソルダレジストの形成、外形加工など |
付加加工工程 | 補強板の取り付けなど |
(工程の分類には『よくわかるフレキシブル基板のできるまで』沼倉研史著 を参考にしました。)
次に前工程と後工程について、リジッド基板・一般的なフレキシブル基板、P-Flex®のもう少し詳しい比較をします。なお基材は一般的に材料メーカーから購入することが多いのでここでは省略します。
前工程:銅箔パターンの形成
前工程、つまり銅箔のパターンを形成する工程は、基板の一番本質的な部分のため様々な製法が考案され利用されています。ここでは最も一般的な製法であるサブトラクティブ法を例に説明します。
この工程の詳細や、その他の製法とサブトラクティブ法やエレファンテックのピュアアディティブ®法との比較を知りたい方は下のブログ記事をご覧ください。
サブトラクティブ法の場合、初めに基板全体に銅箔を貼られた基材(銅張積層板)を用意し、銅箔の不要な部分をエッチングによって取り除きます。一方P-Flex®では初めから必要な部分にのみ銅箔を形成します。
リジッド基板 | 一般的なフレキシブル基板 | P-Flex® | |
---|---|---|---|
銅箔の形成 | 銅張積層板 | フレキシブル銅張積層板 |
|
パターンの形成 | エッチング | エッチング |
一般的なリジッド基板とフレキシブル基板はほとんど同じですが、P-Flex®はどちらとも全く違うことが分かります。
後工程:ソルダレジストの塗布、外形加工など
後工程にはソルダレジストの形成、外形加工などが含まれます。これらを表で比較してみましょう。
リジッド基板 | 一般的なフレキシブル基板 | P-Flex® | |
---|---|---|---|
ソルダレジスト | ソルダレジスト | フィルムカバーレイ、フレキシブル基板用ソルダレジスト | フレキシブル基板用ソルダレジスト(インクジェット印刷) |
外形加工 | 型抜き加工、ルーター加工など | 型抜き加工、ルーター加工、レーザーカットなど | レーザーカット、型抜き加工など |
後工程に関してはそれほど大きな違いがないことが分かります。
ソルダレジスト
ソルダレジストは一般的にフィルムカバーレイより安価ですが、フィルムカバーレイの方が耐屈曲性は高いです。そのため、高い屈曲性を必要とするフレキシブル基板にはフィルムカバーレイを使い、それ以外はソルダレジストを選ぶことになります。
P-Flex®に関して注意すべきなのは、フィルムカバーレイが無い点です。P-Flex®では屈曲に強いソルダレジストインクを採用することで、特に高い耐屈曲性が求められない用途には充分な耐屈曲性を実現しています。
外形加工
外形加工にはリジッド・フレキシブル問わず型(金型、木型)で抜く型抜き加工やルーター加工が広く使われます。またフレキシブル基板の場合には、特に小ロットの製造においてレーザーカッターで加工することもよくあります。
P-Flex®では標準でレーザーカット、数量によっては型抜き加工も行います。
まとめ
基板の構造や各製造工程を比較していくことで、リジッド基板とフレキシブル基板は意外と似ているんだなという感想を持たれたのではないでしょうか。
なかなか実際に利用する機会のフレキシブル基板ですが、柔軟性や軽さなどリジッド基板には無い魅力がありますので、ぜひ一度体験してください。
また、新企画『フレキシブル基板にチャレンジ!』を合わせてお読みいただけると、フレキシブル基板は分からないという方が実際にハマりがちな問題がよく分かると思います。東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って電子工作をしています。
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フレキシブル基板を実際に設計する方法が知りたい方はこちらのブログ記事をご覧ください。