FPCコネクタの選び方【はじめようフレキシブル基板】

FPC(フレキシブル基板)を初めて設計する方に「コネクタは何を使ったら良いの?」という質問をよく受けます。

コネクタ選びは難しいようで、以前の記事【フレキシブル基板にチャレンジ!5】電卓編:コネク)でも、初めてフレキシブル基板の設計をしたエンジニアがコネクタ選びを間違えてしまった話が面白おかしく書かれています。

この記事ではFPCコネクタの選び方を説明します。一度理解すれば簡単な話なのでこの記事を読んでから設計すれば失敗せずに済むはずです。

FPCコネクタ

1. コネクタを選ぶ基準

初めて「さあコネクタを選ぼう」と思って部品屋さんやメーカーのウェブサイトを見ると、FPC向けのコネクタだけでもたくさんあって途方に暮れますよね(私は暮れました)。

コネクタを選ぶ基準には例えば以下のようなものがあります。

  • 何と何を接続するか(基板と電線、基板とFPCなど)
  • コネクタのピース数
  • 接続角度
  • ピッチ
  • 極数
  • 適合するFPCの厚さ
  • 接点位置
  • 接点表面処理
  • ロック構造
  • 定格電流/電圧

いろいろありますが、一つ一つは難しい話ではありませんし、これらの仕様をちゃんと確認すれば後で困ることもありません。

これから一つ一つ解説していきます。

2. 何と何を接続するのか

当たり前ですが、まず何を接続するのかを決めなければ始まりません。コネクタメーカーのウェブサイトでもまずこれで分類されています。

ちなみに以下「基板」という言葉が繰り返し出てきますが、これは通常リジッド基板(硬質基板)を指すものの、フレキシブル基板を指すこともあります。

基板と電線

自分で基板を実装したことがある人にとっては、一番よくあるケースだと思います。リジッド基板に限らず、FPCに電線を接続したい場合もこれを使います。

基板と電線を接続するコネクタは「基板対電線コネクタ」「基板対ケーブルコネクタ」等と呼ばれています。

基板と基板

馴染みが無い人もいるかもしれませんが、小型化や設計・保守の柔軟性を上げる目的で、基板と基板を直接接続することがあります。リジッド基板とFPC基板を接続することもあります。

基板と基板を接続するコネクタは「基板対基板コネクタ」と呼ばれています。

基板対基板コネクタ

上図のように両方の基板にコネクタを実装し、それらコネクタ同士をはめ合わせて使います。

基板とFPC/FFC

フレキシブル基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)を基板に接続する場合は、「基板対FPCコネクタ」、「FPCコネクタ」、「FPC/FFCコネクタ」等と呼ばれるコネクタを使います。ただし名前はメーカーにより様々ですので注意してください。

基板とFPC/FFC

上図のように基板に実装したコネクタにFPCを挿し込んで使います。

FPCにはどれを使うの?

上の説明の通り、リジッド基板とFPCを接続するにはFPCコネクタを使っても基板対基板コネクタを使っても構いません。

じゃあ「どっちを使えばいいの?」 という話ですが、迷ったらFPCコネクタ!と私はオススメします。下の表に簡単に違いをまとめてみました。

コネクタ ピース数 利点 表面処理  
FPCコネクタ 1ピース 部品が少ない 要確認(後述) おすすめ!
基板対基板コネクタ 2ピース 設計が自由 不要 やや上級?

色々な違いがあるのですが、FPCコネクタは基板側に実装したコネクタにFPCを挿し込むだけなのでやはり簡単です。

詳しく違いを知りたい人には、こちらのパナソニックのブログをおすすめします。違いが分かりやすく解説されています。

3. 様々なFPCコネクタ

ではその他に、FPCコネクタにどんな違いがあるかを見ていきましょう。

接続角度

FPCコネクタには、基板に対してFPCを水平に接続するものと垂直に接続するものがあります。

使い分けは見ての通りですが、高さ方向に場所を取りたくなければ水平に接続し、水平方向の場所を節約したければ垂直に接続することになります。

実は上記のパナソニックのブログには、FPCコネクタは水平方向の場所を取るという記述があるのですが、これは水平に接続するFPCコネクタが一般的なためこう書かれているだけで、垂直に接続するコネクタを使えばこの限りではありません。

下図の左が水平接続のFPCコネクタ、右が垂直接続のFPCコネクタです。

水平接続のFPCコネクタ 垂直接続のFPCコネクタ

ピッチ

電極間のピッチのことです。注意点としては、ピッチは電極間の距離ではなく、電極の中心から隣の電極の中心までの距離までだということです。

コネクタ部の基板を設計する際に基板の最小パターン間隔に注意してください。

電極間のピッチ

極数

電極の数です。コネクタのシリーズによって極数のバリエーションが豊富なものとそうでないものがあるので、特に理由が無ければバリエーションが豊富なシリーズで統一すると便利だと思います。

適合するFPCの厚さ

挿し込めるFPCの厚さは機械的に決まっていて、厚すぎても入りませんが薄すぎても抜けてしまいます。0.3 mmのケースが多いようですが、0.2 mm、0.15 mmなどバリエーションがあります。

FPCの総厚は例えばエレファンテックのP-Flex™️で73 μmと、コネクタの適合厚と比べると非常に薄いです。そのためコネクタ部には厚みを合わせるための補強板をつけるのですが、補強板を含めた厚さがいくつになるかFPCメーカーの仕様を確認しておく必要があります。

接点位置

FPCを水平に接続するタイプの場合は、コネクタ内の接点がFPCの上面に来るものと下面に来るものがあります。

コネクタのシリーズによっては好きな方を選べますが、選べないコネクタを使う場合は設計に気をつける必要があります。

接点表面処理

詳細は省きますが、異なる種類の金属が接触することによって金属が腐食するトラブルがあります。それを防ぐためにコネクタ側の接点とFPC側で同じ金属を利用することが好ましいとされています。金めっきで揃えることが多いようです。

ロック構造

FPCをコネクタに固定する構造のことです。

ZIF(Zero Insertion Force: ゼロ挿入力)という構造が有名で、力を使わずにFPCを挿し込むことができ、挿入後にレバー等を動かして固定する構造です。

反対の構造はNon-ZIF、N-ZIF、非ZIF等と呼ばれていて、FPCを挿し込むのに力は必要ですが、挿し込む1ステップだけで作業が終了することが利点です。

より簡単に挿し込めて、より強く固定できるという正反対の性能の両立を目指してメーカーが工夫を凝らしています。

定格電流/電圧

説明不要かと思いますが、もちろん電気的な仕様の確認も必要です。

4. P-Flex™️で使えるコネクタ

「(エレファンテックのフレキシブル基板 )P-Flex™️ ではどのコネクタが使えるんですか?」という質問もよく受けるのでこちらで回答します。

下のヒロセ電機のコネクタは、以前のバージョンのサンプル基板で利用していて、P-Flex™️の仕様にも適合していることを確認しています。

ヒロセ電機 FH12シリーズ(1 mm ピッチ)

またP-Flex™️の注文の際には、表面処理のオプションの金めっき(無電解 Ni-Au めっき)を利用してください。

P-Flex™️用のコネクタの選び方

下記の条件を満たしていれば問題ありませんが、注意点もあります。

P-Flex™で使えるコネクタの条件
ピッチ 0.5 mm
適合FPC厚 0.3 mm
表面処理 金めっき

例えば上記のF12シリーズにも0.5 mmピッチのコネクタがありますが、仕様書を見るとFPC側のオススメのパターン幅が0.35 mmとなっています。ピッチが0.5 mmでパターン幅が0.35 mmということはパターン間隔は0.15 mmとなり、P-Flex™️の通常仕様の最小パターン間隔0.2 mmを下回ってしまうため、1.0 mmピッチをオススメしています。

つまり0.5 mmピッチであることよりも、パターン幅とパターン間隔がP-Flex™️標準仕様の0.2 mmを越えるコネクタを選ぶことが重要です。

P-Flex™️の部品実装サービスの詳細は以下のページにあります。

まとめ

まとめは以下の3点です。

  • FPCをリジッド基板に接続する際はFPCコネクタがオススメ
  • ピッチ・適合FPC厚・接点表面処理には注意
  • 後は使いたいものを選べばOK

コネクタの選び方分かりましたか?疑問や何か気になる点などあれば、Twitter(@elephantech_Inc)でもブログのコメント機能でも良いのでコメントください!

参考リンク

まず本文中に出てきたパナソニックのブログです。FPCコネクタと基板対基板コネクタの違いが分かりやすく解説されています。

コネクタに関するまとまった知識を紹介するウェブサイトはあまりありませんが、コネクタメーカーのイリソ電子工業のページでは、この記事で説明しなかった様々なロック構造など、コネクタの知識が辞書形式で紹介されています。一度目を通しておくと良いかもしれません。

RSオンラインの企画で、コネクタメーカーのヒロセ電機とTE Connectivityにコネクタの基礎から注意点までインタビューした記事があります。コネクタメーカーならではの深い知識が紹介されています。

最後にコネクタメーカーをいくつか紹介します。(順不同)

(野村 浩気)

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