エレファンテックの生産管理システム

【製造業ベンチャーでソフトウェア開発と業務効率化をした話】シリーズ

過去のシリーズでは生産管理システムの歴史や、他の開発しているソフトウェアについて紹介しました。本記事では、エレファンテックのソフトウェア開発のうち、現在中心的な開発項目である生産管理システムを紹介したいと思います。

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本記事の目的

以前の記事でも紹介したようにエレファンテックでは生産管理システムを社内で開発しています。

日々の製造を滞りなく行うためには生産管理システムによる管理が不可欠です。本記事ではフレキシブル基板を製造する際、実際に生産管理システムどのように利用されているかを中心に紹介したいと思います。

生産管理システムで行いたいこと

エレファンテックではフレキシブル基板の製造をピュアアディティブ®法という独自の製法により行っており、既存の製法よりもシンプルながらも、いくつかの工程が必要となります。

複数の顧客の各基板を製造する際それぞれの工程は並列に進んでいくことになります。

その際、製造の管理担当者は

  • 顧客のどの基板の製造がどの程度工程が進んでいるか
  • 想定より歩留まりが悪くなってしまって必要数に足りないものが発生していないか

といったことが知りたいです。

また、実際の製造担当者は、今行うべき作業は何かを決めるため

  • 直前の工程では現在どの基板に対して作業を行っているか
  • 今日中に作業する必要のある基板はいつ頃手元にくるのか
  • 他の工程で何らかの問題が起きていないか

といったことをそれぞれ常に把握する必要があります。

現在開発している、生産管理システムではこのように

「現在どうなっているかを常に把握できる」

ことを機能の中心として開発を行っています。

実際に稼働しているシステム

ここでは実際にどんな画面を見てもらいたいと思います

めっき工程用画面

上画像は、めっき工程の担当者が主に確認する画面のキャプチャです。画面上部で現在どの槽で何を製造中か・どの槽が稼働中なのかが表示されています。画面下部ではどの基板がどの工程で何枚作業中なのか・何枚待機しているかが表示されています。めっき終了予定時刻も表示されているので、めっきの次の工程担当者はその時刻に併せて次作業の準備をすることになります。このように各工程ごとに必要な情報が確認できる画面が用意されています。

各工程の担当者は作業毎に工程の記録を登録し、そのデータを集計したものがこの画面で表示されています。
実際に登録してもらう際には「作業を行った」という記録だけではなく、どのインクジェットプリンターを用いたか、インクの種類や、そのロット番号などの製造パラメータも一緒に記録してもらっています。これらの製造パラメータを登録することリアルタイムに製造状況を把握するためだけではなく、後から製造現場で行われていた作業を振り返ることもできるようになっています。

製造量グラフ


上画像はめっき工程で日毎、週毎にどの程度の枚数の作業が行われたかのグラフです。このグラフは登録されたデータから常に確認できるようになっています。以前はこういったグラフを見たい人はデータをダウンロードし、それを自分でExcelなどを用いてグラフを出す必要があったのですが、現在はいつでもブラウザ上から確認できます。
このグラフを確認することで製造工程が不安定になっていないか、不良率がある期間だけ高くなっていないかを常時モニタリングできます。

このような単純な作業量の把握以外にも、不良発生時に同じ条件で製造した他の基板に問題がないか条件毎に検索することもできます。実際にあった例では検品時に銅パターンの密着性が著しく低い基板が検品時にまとまって発生した際、あるインクジェットプリンターで特定の期間に印刷が行われたものであったことがわかったことがあります。製造業を行う上では当たり前のことではありますが、トレーサビリティの意味でもこれらの製造記録を常につけることはとても重要です。この同条件での製造が行われた基板の検索は以前行っていたスプレッドシートを使った管理では実現がかなり難しい点でした。

Google スプレッドシートの利用

前述したとおり、現在の生産管理システムが稼働する前はGoogle スプレッドシートにより製造工程の進捗を管理していました。
スプレッドシートは単純なデータの並びを記録するにはとても便利なのですが、扱うデータが多くそれらが複雑に関連しあう場合メンテナンスが大変であり、さらに実際に利用する際にも誤ったデータが入力されることも多く、中心に据え続けるのは無理という判断をしました。
現在は社内開発した生産管理システムを中心に製造を行っていますが、今でもスプレッドシートは使われている場面はあります。

具体的にはまだシステム化されていないが、具体的な運用が曖昧な状態でどういった機能が必要になるかを見定めるためのテスト運用を行う場合や、単純にソフトウェアの開発が間に合わないときに繋ぎとして記録を取っておきたい場合などです。

手軽に扱えるので、製造現場で何かが必要になった際にとりあえず始める際にはとても重宝していて、これからも何らかの形で利用は続くと思います。

これから

現在は記録を取るため、PCでデータを登録する画面を開き項目を入力するという1手間が必要となっています。
データをとること自体は管理という意味では必須ですが、製造それ自体には不要な作業なので、この作業を可能ならば減らしていきたいです。

具体的には製造機械自体を改良して、製造開始と同時に自動で製造記録をサーバに登録し画面を送る手間を減らしたり、RFIDの導入などにより、物理的な物の移動だけで工程の登録、開始を自動で記録することを考えています。

次回予告

今回の記事では、製造中の製品をどのように扱っているか、その生産管理システムを中心に紹介しました。

次回は、製造に使う機器をソフトウェア上ではどのように取り扱っているかについて紹介したいと思います。。機器の稼働状態の監視や、そのログの収集など、表立っては見えませんが、どのようなデータを収集しているかが主なテーマとなると思います。次回も是非よろしくおねがいします。

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