お客様インタビュー GROOVE様

GROOVE 様
2017年5月29日

「ダンサーが自分で音楽や映像をコントロールできるように」という思いから、グローブ型ウェアラブルデバイスを開発しているGROOVE。2017年に東京大学が主催する TODAI TO TEXAS プログラムに選ばれ、面白いプロダクトの登竜門であるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に参加、NHK BSに密着取材を受けるなど、注目を集めています。

GROOVEのメンバーの皆さんに、GROOVEが目指す世界、エレファンテックのフレキシブル基板製造サービスの魅力についてインタビューしました。

Q. GROOVEの皆さんの活動内容を教えてください

GROOVE 小宮様

元々、チームメンバーの小宮がダンサーで、ダンサー自身が音楽や照明などをコントロールできたらいいのに、という課題意識から始まりました。ダンスは基本的に音楽に合わせるものですが、当然ながらダンサー自身はダンス中に音楽を変えたりできないので、事前に決めておいた音楽や照明に合わせるしかないわけです。

本当は、観客の反応に応じてダンスや音楽、照明を変える「即興性」を実現したいのに、それができないのが課題だと感じていました。特にストリートダンスは路上でやるものなので、音響担当や照明担当無しにダンサー本人だけで全部コントロールできるのが一番いいわけです。

そこで、ダンスをしている最中に使えるインターフェースとして、グローブ型のウェアラブルデバイスを開発することにしました。グローブ型デバイスの中にセンサーとLEDが並んでおり、センサーで手の動きをセンシングする入力インターフェースだけでなく、LEDによる出力インターフェースにもなります。

Q. ダンス以外にも使えそうですね

はい、グローブ型ウェアラブルデバイス自体は色々なところで使えて、例えばダンス以外のパフォーマンスではフリースタイルフットボール(リフティングやドリブルなどの技術を発展させたサッカーボールを用いて行うパフォーマンス)なども面白いと思っています。当然足を使うパフォーマンスなわけですが、GROOVEを使うと「足を動かしながら手でもパフォーマンスを行う」ことが可能になるので、表現が広がります。

全く別のところでは工事現場などでジェスチャーを認識して電光掲示板の表示を変えるといった応用も可能ではないかと考えています。

Q. 技術的に難しいところはありますか?

機械学習を用いてジェスチャー認識をしようとしているのですが、リアルタイムでセンサーのデータが得られるので、「データが多すぎてリアルタイムに処理するのが逆に難しい」という課題があります。特にダンスなどのパフォーマンスでは少しのディレイも気になって来ますね。

Q. どういうきっかけでエレファンテックのフレキシブル基板製造サービスを利用されましたか?

GROOVE 堀様

メンバーの堀は電子工作が趣味で、リジッド基板については経験がありましたが、フレキシブル基板(FPC)については経験がありませんでした。

最初はテープLEDなどを組み合わせて作ってみましたが、どうしても硬いのでユーザビリティが低いという問題があり、フレキシブル基板で作ってみようということになりました。

ところが、フレキシブル基板はとにかく製造のリードタイムが長い上にコストが非常にかかるため、フレキシブル基板メーカーにも協力して頂いてとても安くして頂いたにも関わらず、それでも学生チームの身からすると気軽に発注できるようなものではありませんでした。

毎回発注する度に「もし設計ミスがあったら二桁万円が無駄になる・・・」と思いながら「ごくっ」と息を呑んで発注する感じでした。とはいえ我々にもデッドラインがあるので、リードタイムも2週間程度かかってしまうこともあり発注しないと間に合わないため、とにかく発注しなきゃ、という状態でした。

さらに、短納期のフレキシブル基板製造サービスだとさらにコストが上がります。3日早くするだけで10万円といった単位でコストが上がるため、「流石に無理だな、基板が届いてから実装死ぬ気で頑張ろう」という話になりました。

そこでエレファンテックのフレキシブル基板製造サービスを知り、3〜4日という納期で、これまでより遥かに安くフレキシブル基板が作れると聞いて、試してみました。

Q. 実際に利用してみていかがでしたか?

納期に関しては本当にもう、びっくりしました。最初はこの納期嘘でしょと思いました(笑)

リードタイムが短くなる分、試行錯誤が何回もできるようになるというのが本当に嬉しいですね。こういう技術があるとウェアラブルの世界も加速しそうです。

コストについてもやはり試行錯誤がしやすくなります。これまでフレキで色々トライしようとすると、「これ一枚XX円かかってるんだな」という気持ちになってなかなか色々な試みができないというところもあったのですが、これならどんどんダメにするつもりで試せるのがありがたいですね。

まぁ、あんまりぞんざいに扱えないですけどね、昔の気持ちがあるんで(笑)

実際に製造したフレキシブル基板

Q. 我々の基板はコストと納期に加えて、実はレジストの精度も高いので、0.5mmピッチQFPなどの半田付けにも対応できますが、そのへんはどうですか?

えっ、ほんとですか!?全開口じゃなくて200μm線間とかにレジスト塗れるんですか?

Q. これがほんとなんです。

いやこれは・・・本当にすごいですね。マイコン載せたい。

Q. 今後のGROOVEの展望を教えて頂けますか?

耐久性が高いものを作っていきたいです。まずダンスイベントなどで使っていただいて、そこで人気を獲得して、最終的にはC(消費者)向けに展開したいところですね。CMなどのプロモーションで使って頂くとか、そういうところも考えています。

C向けの販売は、ウォッシャブルにならないといけないなど、なかなかハードルが高いですが、今後研究開発をしていきたいです。

SXSWのときも、お客さんに実際に使って頂くと、「えっこんな曲げ方するの」というような使われ方もあって、ある意味どんどん壊すことを前提に開発をしなければならない中で、「壊れても良い」という気持ちで開発していけるのがとてもありがたいです

Maker Faire Tokyo 2017で撮影

ET2017展で撮影

GROOVEの皆様、ありがとうございました!