耐屈曲性に優れる薄型P-Flex®販売開始のお知らせ
2017年12月11日
プリンテッド・エレクトロニクス技術で世界をリードしているエレファンテック株式会社(旧AgIC株式会社1、本社:東京都文京区、代表取締役:清水信哉、以下「エレファンテック」)は、主力製品であるインクジェット印刷フレキシブル基板P-Flex®について、ベースフィルムの厚みを125μmから50μmへと薄くした製品の販売を開始しました。
これまでP-Flex®は、完全な型レスを実現した次世代フレキシブル基板として、医療機器、製造機械、IoT機器など、様々な用途で利用されてきましたが、技術的な理由から、一般的なフレキシブル基板に比べて非常に厚いベースフィルム上にしかパターンを形成できませんでした。ベースフィルムが厚いことにより、耐屈曲性が乏しく、ヒンジ部など繰り返して折り曲げるような用途では利用できませんでした。
今回、独自の製造技術の進歩により、これまで製造・販売してきた125μmのフィルムより薄い、50μmのフィルム上へのパターン形成が可能になりました。これによって、基板総厚は80μm以下と、一般的なフレキシブル基板と同程度になり、繰り返して折り曲げるような用途でも利用することが可能になりました。
薄型P-Flex®に関するデータ
基板総厚はこれまでの168μmから73μmとなりました。基材厚は一般的なFPCよりは依然として厚いものの、接着層が無く、金属、ソルダレジストを直接印刷する形式であるため、総厚は同程度となっています。
※厚みはいずれも参考値です。
※一般的なFPCの中にはこれよりも薄い製品もありますが、ここでは安価で一般的に出回っている3層CCLベースのFPCの例を挙げております。
(追記)屈曲半径 R 5mmで900万回以上となりました。: 2018/02/14 特に既存のFPCに比べて耐屈曲性で有利というわけではなく、HDD可動部など特に厳しい条件での利用は困難ですが、電気製品のヒンジ部等では数十万回程度の屈曲で十分なものが多く、屈曲部への利用も可能となりました。
条件次第ではより多くの屈曲回数にも対応可能となりますので、具体的な条件(屈曲半径、配線パターンなど)など個別にお問い合わせ下さい。また、その他の条件についても、実験データを追加掲載していく予定です。
最小曲げ半径は0.5mmとなり、これまでの10分の1の曲げ半径での対応が可能となりました。これにより、例えば金型でFPCに90度曲げを施すことも、R 0.5mm以上であれば可能となりました。
こちらも個別の条件次第ではより小さいRでの対応も可能となりますので、ご相談下さい。
エレファンテック株式会社について
エレファンテックは、2014年にAgIC株式会社として創業しました。創業当初より、「印刷による電子回路製造技術により、電子回路のコストを劇的に下げる」ことを目指して開発を行ってきましたが、初期段階では産業用の電子回路としては耐久性や解像度などが不足していたため、主に教育用途等での展開を行ってきました。
その後2017年に入り、高速無電解銅めっき制御技術を始めとするいくつかの当社による技術革新により、世界で初めて産業用途にも利用可能なフレキシブル基板製造技術を実用化し、製品名「P-Flex®」として産業用途での出荷を開始致しました。現在では、自動車メーカー、自動車部品メーカー、家電メーカー、機械メーカー、建材メーカーなど多くの顧客に試作用途としてご利用頂くとともに、量産品の採用例も増加しつつあります。
P-Flex®について
P-Flex®の最大の利点は、製造プロセスに「型」「版」が一切必要ないことです。それにより、開発、量産試作、量産、量産後の図面のアップデートにこれまで都度必要だった型代とリードタイムを削減し、プロダクトライフサイクル全体でのコスト・リードタイムを圧縮することが可能になります。
あるメーカー様では、開発から量産までP-Flex®を採用頂くことにより、フレキシブル基板に関するトータルコストを半分以下に削減することに成功しています。これは、プロダクトライフサイクルがより短くなり、多品種少量化がさらに進むこれからの製造業の発展に資するものと信じております。
(※1) 2017年9月4日付けでAgIC株式会社からエレファンテック株式会社に商号変更
会社概要
名称 | エレファンテック株式会社 |
代表 | 代表取締役 清水信哉 |
設立 | 2014 年 1 月(2017 年 9 月 4 日にAgIC株式会社からエレファンテック株式会社に商号変更) |
資本金 | 7億5690万円(資本準備金を含む) |
所在地 | 東京都文京区本郷 5-25-18, ハイテク本郷ビル 1F |
URL | https://www.elephantech.co.jp |
主な事業内容 | プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発、製造サービス提供 |
2017年12月11日現在